2009/06/30

『死の棘』と『IN』


mixiにある
毎月、名作をよもうというコミュ
放課後読書会 - on and off -

に 入っていて(読書好きのみなさんどうぞ!)
先月末は 細雪を読んでその谷崎が細雪の舞台として住んでいた邸宅
『倚松庵』へ行った
のですが
そのあと、カクテルとか飲みながら
次に何を読みたいかという話になりました。

私は ちょっと気になっていた
『死の棘』 島尾俊雄 新潮文庫が読みたかったので
じゃ~それを7月あたりに読みましょうかということになったのです。

死の棘は
作家である夫と妻の物語。
その夫の名前は 島尾俊雄 妻はミホ、子供達も本名で描かれている

そんな2人の子供のよき母であり、
夫をひたすら一途に愛していた妻が、ある日、
夫の不倫をしていたことを知ってしまう。
それも、日記魔の夫の日記から!
その日から妻の狂気が始まった。
夫はひたすら妻の怒りに謝り怯え慄くけれど決して妻は許さない。
どんどんエスカレートして荒んでいく妻と家庭。

という
読めば読むほど滅入ってしまう
堂々巡りの物語なんだけど
なぜか鬱々とした中にも引き寄せられるものがあり
その無限地獄を覗き見たくなってしまう、稀有な小説でした。

その、死の棘を読書前、買おうと思っていたとき
大森望さんの書評ポッドキャストで
今、よく売れているという
『IN』 桐野夏生 集英社
についてを聞いてると
なんと、
この本は
死の棘の家庭を壊したと言われている愛人は誰なのか?
ということを 探りながら一方、
自分の不倫も閉じようとしている女性作家の話だというのです。
こちらも作家が桐野夏生ではないかと疑ってしまうような描き方。


たいむり~~~~~~~

もちろん本の中では
島尾俊雄とも死の棘とも書かれていないけど
読む人が読んだらすぐわかるようになってるんです。
(もちろん、死の棘を読んでいないときの私なら 劇中劇ならぬ
 本中本だと思ってたと思うけど)

だから

死の棘を読んでからINを読むと

ものすごく どちらもが リアリティーのある
まるで 上巻と下巻のようにも読めてしまうんです。

でも、作家たちは
まるでノンフィクションのように毎日を描いていたとても
それは どこからが真実でどこからが虚構なのか?
読者は迷路に迷い込んだかのような気分にさせられてしまうものですね。

自分の身を削ってまで
作品と向き合わなければならない
作家と言うのは因果な商売だなと思わせる
2編の作品でした
あ~~~~~ ドロドロしてた~~~~~~
(でも、ハッピーエンドな小説より どろどろしたほうが好みなのよ、本はね

ちなみに今月の課題図書は
太宰の斜陽で 今度 映画『斜陽』&監督の舞台挨拶を見に行きます
たのしみ!

0 件のコメント:

コメントを投稿