2012/08/08

文楽:曾根崎心中いってきたよ


誰かの炎上マーケティング?かわかんないけど
行ったらなんと、「満員御礼」でした。
文楽のレイトショー、曾根崎心中。

文楽は久しぶりで、でも、誰かが
「演出はつまらん!」と言ったから見に行ったわけではないんです。
文楽好きのともだちが発売と同時に座席を取ってくれたので前から2列目で見る事ができました。

演劇を見るには前の方からみないと臨場感と共感を得る事は難しいですが、
文楽はお人形なので、細かい動きや表情も楽しむためには
やはり前の席で見ないと特に良さがわかりません。
橋下さんはなんでも真ん中辺りから見たそうだけど、あれ、一番前で見せたら感想も違ったんぢゃ、いや、彼のような人には無理かw

私の席は真ん中よりも向かって右側で
すぐ横に太夫さんと三味線がおられる席で、息継ぎの時に漏れる音まで聞こえます。
本当に気持ちのよい席でした。

曾根崎心中のようなポピュラーな芝居は内容もわかってるので
安心して見れるから気持ちのよさにちょっとうとうとしちゃうけど、
私はそういうのも含めエンターテイメントが昇華した伝統文化では良しとしてるのです。

歌舞伎とか文楽では特別に通しで演劇をする事もあるけど、まず、そういうことはありません。 面白い場面だけ、見たい人気の場面だけを演じるのが普通です。 
だから、話のストーリーはみんな知ってるでしょ?ということで
今回はあの心中するとこだけやりますわ~。というのが日本の演劇文化なのです。
メドレーでサビだけ歌う、みたいな。
だから、橋下みたいに
「1回みただけではわからん!もっとわかるやつを!」
なんて、いうのは無粋も無粋。
よくそんな事、ようはずかしげもなく言えますな。 
ていう感じです。
日本の演劇文化を面白がるには、少しの勉強が必要です。
この話はどういう話なのか、今からやるのはどの部分なのか。それを知ると、
ここは寝るとこ~w ここは見るとこ!!!
みたいに余裕を持って見れるというわけなんですYO! 
その少しの勉強を楽しいと思えるか、勉強した自分をかっこいいと思えるかが和の伝統文化を愛せるかどうかの瀬戸際なのかもしれませんね

さて、曾根崎というと、上方で見ると歌舞伎だとどうしても
澤村藤十郎一家(扇千景一家)がお初徳兵衛を十八番の様にやってるので、
他のキャストで見た事がないんです。
あの一家は好きな人もいるんだろうけど、私はあまり、、、なので、
曾根崎心中に関しては可憐さをわかってなかったと思います。
それに比べて人形の2人は美男美女で、ほんとすてきでした。
心中の場面のお初は「蓑助さん」だったし!!!

この話は25歳ぐらいの丁稚の男と19歳の女郎の女が添い遂げたいと思ってるのに
丁稚が店の主人の姪と結婚させられるということで、それを断ると、
それなら結婚のために用意したお金を今月末までに返せ!
いや、そんなお金もらってません
おまえの義理のおかんに渡したわ!
え!そんなん知らんし、金返してもらってきます(焦
色々あって、返してもらった帰路に友達が
今日だけ貸して!明日返すし。そうじゃないとやばいことになんねん!!!
友達やし、今日だけならええか、と思ってたら次の日、
返してもらえへん!
だまされた!もう生きていけん!!
もう、2人で死ぬしかない~~~

という、脚本としたらたいした事ない話なんだけど、
この実際にあった心中事件が起こって、その1ヶ月後に近松が書いて文楽で上演されて
大ブーム!文楽を不動のエンターテイメントとさせたというすごい作品なのです。
その恩のある大メジャーで大阪を舞台にした作品でも楽しめなかったか~。彼は。

落語みたいに、文楽も新作やったらええのに。
わからずやのおっさんが最後、文楽を楽しむようになる話とかさあ
そしたら橋下もわかるのも作れるかも。
とか、思ったりしたのでした。