2011/05/24

国境の南、太陽の西

あの時読んでた本の話。

私のプロフィールを読んで
海外との絵はがき交換サイト、postcrossingのメンバーさんが
「村上春樹の “Au sud de la frontière, à l'ouest du soleil". を思い出しました」
というメッセージをもらいました。

私はハルキストでないので
twitterで ”Au sud de la frontière, à l'ouest du soleil". って何?
ってきいたら、フォロワーさんが
それは
国境の南、太陽の西
ですよって教えてくれたのでした。

それならばと読んでみた。
タイトルがかっこいいよね。

国境の南 は 古いジャズ "South Of The Border ” 。


ナット キング コール のそのレコードを主人公の少年
ハジメくんは初恋の人、クラスメートの島本さんと彼女の家でずっと聴いていた。
島本さんは足が悪くて少しひきずって歩いているけど
理知的で媚びなくて隙がなくて美人で、
誰もにその事を指摘させない雰囲気をもっているし
自分からはばかってゴメンナサイね
とか全く言わない女の子だ。

お互いの気持ちはわかっていたけど小学生の2人には何もなく、
時が流れて全く会わなくなって、どこにいるかもわからなくなるんだけど
ある日、大人になって出会ってしまう。

なぜならハジメくんは、青山通りで
「ジャズを流す上品なバー」の経営に成功していて
その店のオーナーとしてブルータスで紹介されたのを見た島本さんが
店に会いに来たから。

私のポスクロメンバーさんは、そこを私の店の紹介文と
多分私が日本人だからこの本を思い出したのに違いない。

会うべくして会わねばならない2人がどちらも思い続けて
やっと会えるという物語は1Q84でも描かれてるよね。
(あ、1Q84はまだ会ってないかw)
昔に出会った運命の人がずっと自分を思ってくれているというストーリーは
誰しも自分に置き換えてみるとドキドキ魅了されるもの。

この本は私にとっては3分の2ほどは楽しかったけど
最後に向かっては男の勝手さが鼻について少しあほらしく思ってしまったの。

だけど、このハジメくんの
JAZZ BAR 経営の心得はなかなかおもしろかった。
それについては
この本について調べる事があってぐぐってたら
サイバーエージェントの社長の藤田晋さんがブログに書いてたので
興味がある人はこちらを .



藤田さんが書かなかった事で
私がハジメくんが語った心得で私に一番欠けている事は
彼はいつも
アルマーニのシンプルなスーツに清潔な白いシャツを着て
カウンターの中に立ったり端で座って本を読んでたりするんだけど、
それを島本さんがいいセンスね
なんていうと
「僕はこの服を好きで着てるんじゃないんだ。お客がこの店のオーナーに着て欲しいと思う服を着てるんだよ」
みたいな事をいうの。
BARの高いお酒をわざわざ飲もうと思ってくれる人たちが
どんな店に行ってみたいか?
彼はそれを徹底的に考えて実装している。
「(BARで酒を飲むということは)精妙に作られて空中に浮かんだように見える人口庭園を見るために、その風景の中に自分も入り込むために、彼らはここにやってくるんだよ」

私は昔からONとOFFで着ている者があまりにも違いすぎる。今だと、たいした調理もしないけど水を使う仕事であるカフェやBARの業務をこなすのに美しい洋服よりも汚れてもいい服を着てしまうのだ。
でも、振り返ってみると、店を始めた頃は
お客がこの店のオーナーに着て欲しいと思う服
について考えて、白いシャツにロングスカートなんかを着ていたなあ。
10年でこんなになっちゃったよ。
ちょっと反省したw

結末はどうもいただけないけど、
色んな事を考えさせられる物語でした。
うむ。
国境の南、太陽の西 (講談社文庫)
村上 春樹 (著)

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