2011/04/04

ルワンダ ジェノサイドから生まれてのこと

先日、
「ルワンダ ジェノサイドから生まれて」
ジョナサン•トーゴヴニク
写真展にたまたま行ったのです。

というのも梅田にあるニコンサロンは
2つの写真ギャラリーを持っていて
一つはいわゆる綺麗な写真の写真展
もう一つは
art寄りの写真展を常時やっていて
関西では珍しく充実した
写真に特化したすばらしい展示をやっています。

私はカメラ教室にニコンサロンへ行ってるので
そこで毎回見るのを楽しみしているのですが
今回半分のところで
[ニコンカレッジ2周年記念フォトコンテスト入賞作品展] をやっていて
それを見に行ったのです。
(その事は後で書く事にします)

その半分が
ルワンダ ジェノサイドから生まれて」 でした。

私は普段からTBSラジオでライムスター宇田丸さんの
ウイークエンドシャッフルを愛聴してるので
その中で佐々木中さんが
この写真集について熱く語られてたのを聴いていたので
この写真展が
ニコンカレッジでやっているのを見てすっごいびっくりしたのです。

なぜなら、これはものすごく特殊な写真展です。

ルワンダで大虐殺(ジェノサイド)があったこと、
ホテルルワンダ を見た事のある人や海外のニュースに敏感な人ならば
知ってるでしょう。

その詳しい事はその後この写真展を友人が行って
超詳しくブログに書いてくれたのでそちらを紹介します 。


ルワンダでは
1994年、ある日、大統領が暗殺されたのをきっかけに
国の二つの部族(実は植民地時代に同じ部族を二つに分けられた)の
フツ族がツチ族を虐殺し始めました。

仲良く暮らしていた普通の人、
近所の人とか上司とか職場の仲間とか友達とが
昨日までの隣人を残虐に残虐に虐殺しだしたのです。
そして女の人たちはたくさんが強姦されました。
何十人もの人たちに殴られながら犯され続けたのです。

このくだりを何度考えても全くわかりません。
どうしてこのように急に普通の人たちが獣のようになってしまったのか
そしてこのパニックの行き着く所が
どうして虐殺と強姦なのか?
暴徒化側のフツ族の女の人たちはどうしていたのか?
全く想像することができません。

この写真展では
美しい正方形の
女性と子供達、母子家庭のポートレートが並べられています。
赤土とアフリカの民族衣装の美しさと独特の色合わせ。
子供達の伸びやかな手足。
これだけを見たら普通のアフリカの親子の写真展のようです。
しかし、その横には木肌のような色のキャプションが掲げられています。
そこには、小さなフォントで彼女のインタビューが淡々と書かれていました。
ジェノサイドの時にどんな事が彼女(母親)の身の上に起こったか。
ある女性はお父さんが牛をあげたりもしていた隣人に
家族を目の前で虐殺され、その横で強姦されました。何人もに何度も何度も。
ある女性は5000人もの人が逃げ込んだ教会で一人一人が殺されているのを
死んだふりをして逃れてその後、蹂躙されました。
その結果生まれた子供達にその後救われた人も
また、その子供を全く愛せない事を吐露している女性もいます。

100日間で80万人が殺され、その時の性的暴力で誰の子かわからない子供が
約2万人生まれたと言われています。

これは本当にあったことです。

若い人たちがたくさん見に来ていました。
みんな言葉なく、その写真の前で立ち止まっていました。
一緒に行った友達も急にこの写真展を見てしまって
きっと、びっくりしたと思います。
私はこの展覧会の情報をラジオで知っていたからもちこたえる事ができたけど
お二人は母親だし、私よりももっと深く傷ついたのではないかと思います。
不意打ちで見るにはあまりに重すぎる写真展です。

この狂気の出来事は
パニックの中で私にも起こりうるのでしょうか?
教育とか道徳とか倫理とかを超えた何かが突き動かしたのでしょうか?
集団催眠とはそのような物なのでしょうか?
男の人たちは強姦の連続に欲望意外の何を充足するのでしょうか?
あの人達は無知だから。。。という事で考えを止めてしまってはいけないと思うのです。
この行動の意味や理由を解明して欲しいのです。
でないと、自分以外の人間を信じられなくなります。

今、日本では天災でつらい思いをした人たちが
冷静に我慢強く暮らしているけれど
これを「災害ユートビア」というのだそうです。
地震の後に暴動の起きない日本はすばらしいとか思ってたけど
これは特殊ではなく、普遍的な事だそうです。
災害後には「正常な状況のもとではめったに得られない帰属感と
一体感を与え」る「災害ユートピア」が形成されるという考え方です。

でも、しばらくして
大きな災害に見舞われたあと、多くの国々や地域で独裁体制が妥当されたり、
政権が交代したり、あるいは逆にナショナリズムが高揚していくなど社会の大きな変動が見られることがあるそうです。
パニックの中に。
この考え方は正しいかどうかは別として理解できます。
想像もできます。
そのような渦の中に巻き込まれる自分も。

だけど、やっぱりこのルワンダで起こった
ジェノサイドをどうしても解ることができないのです。
泣きたくなるぐらいに。

写真家:ジョナサントーゴヴニクのHP 
災害ユートピア—なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか」レベッカ・ソルニット著のすばらしいブックレビュー 

なんか、ジェノサイドのことばかり書いちゃったな。
この写真展には
ARTの力があります。
震災後にビートたけしが
震災のバカの話で
「歌しか歌えないのでぼくは歌います」とか言うやつ
って言ってたけど。今歌うのはあまり意味がないと私も思う。

ARTに即効性はない。
けれどこのように違う形で人々に後に
じわじわと心に語り続ける方法で
忘れないで考え続けて行く事を教えてくれるのが
ARTの力だ。

(この写真展は梅田ヒルトンプラザウエストの13階
ニコンサロンの中でやっています 無料 6日まで)

0 件のコメント:

コメントを投稿