2010/05/09

旅と読書


ある日、
ロバート・ハリスのポッドキャストをきいていたら、
旅に持っていくオススメは
ハルキの『遠い太鼓』だと言っていた。
私はそれをちょうど本屋で聞いていたので、
その場で買ってあまり読まずに時々手にとっては眺めるているような読み方をしていたのだ。
遠い太鼓 は ハルキが39歳の頃の紀行文。
内容は、売れっ子作家になりそうな予感の中、そんな自分と日本での毎日に嫌気がして、
ギリシャ・イタリアなどを奥さんと二人、
ミラノ・ミコノス・アテネ・・・いろんな町でアパートメントを借りて
数ヶ月づつ過ごしながら疲弊しきった心を少しづつ氷解させて健やかな心へと導いていく話。
この3年間の旅の中で、ノルウェイの森とダンス・ダンス・ダンスは生まれたのだ。

読み出してみると小編に分かれ、
その土地での暮らしを書き綴ったエッセイはとても読みやすく、
私は先月の名古屋への一人旅の道連れにこの本とtwitterをもっていくことにした。

ギリシャやイタリアに比べると名古屋なんて
すごく近くだけど、
女一人2泊も宿を取って旅に出るのは私にとっては小さな冒険だ。

名古屋のホテルやカフェやレストランやいろんなところで本を開いて
私も少しづつギリシャを旅してみる。

『ひつまぶし』を食べてはローマに行き、
気に入ったBARでジンリッキーとギリシャの知らない島へ行ったり、
ミコノスとホテルのビュッフェランチが一緒になったり。
まるで、二つの旅をしているような気分になるのだ。

この本のハルキは私と同じ年ぐらいで40になったら
何かをしなければならないと
何故かすごく焦っている。
そんな彼と一緒に私は何をすればいいのだろうか。
焦ってみたりもしながら
旅をしたのである。

遠い太鼓は
結局
旅の間だけでは読むことができずに
5分の1ほどを神戸に持って帰ってしまった。
旅先での紀行文は自分のわくわくとシンクロして
知らない町でのおじさんとの会話や
偶然入った町の食堂のびっくりするぐらいおいしいワインと食事に楽しむハルキ夫妻を
我が事のようにほほえましく読めたんだけれど、
家で読むと
うらやましさが先にたってしまう。

ロバート・ハリスはいつもこの本を旅に持っていくと言っていたのは
なるほどこういうことだったのかと
旅で旅を読む楽しさを
体感した
名古屋旅行でもあったのでした。


写真は泊まったホテルの近くのテレビ塔

0 件のコメント:

コメントを投稿