3 番歌
| あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む あしひきのやまとりのをのしたりをの なかなかしよをひとりかもねむ | 柿本人麻呂 |
山鳥のあのたれさがった尾のように長い夜を、私は一人で寂しく眠るのであろうか。
【あしびきの】 山に関係した言葉にかかる枕詞で、ここでは「山鳥」にかかっています。
【ひとりかも寝む】 「(逢いたい人にも逢えないで)ひとり(寂しく)寝ることでだろうかなあ」という意味。「ひとり」は名詞ではなく、「ひとりで」という意味の副詞です。「か」は疑問の係助詞、「も」は強意の係助詞、「む」は推量の助動詞です。
***想い人には会われへん秋の長夜。ロマンチックでメソメソした男の歌。多分想い人は他にも彼氏がいそうな気がする4番歌 田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ 山部赤人
田子の浦の海辺に出て見渡してみると、富士の高嶺には真っ白な雪が降り積もっている。
【田子(たご)の浦に】 田子の浦は、駿河国(現在の静岡県)の海岸です
白妙は前にも勉強した白いものへの枕詞 (過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山)
【白妙(しろたへ)の】 「白妙」はコウゾ類の木の皮の繊維で織った純白の布のことです。 富士に掛かる枕詞になっています。*白妙が白い布の意であることから、白いものにかかる。
「万葉集」では 「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」***
風景写真のような句だなあ(陳腐な感想だ
5番歌 おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸大夫
おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸大夫奥山で散り敷いた紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞くとき、とりわけ秋が悲しく感じられる。【鳴く鹿の】 秋には、雄の鹿が雌を求めて鳴くとされており、そこに遠く離れた妻や恋人を恋い慕う感情を重ねています。作者 猿丸太夫(さるまるだゆう。生没年不詳)伝説の歌人で、三十六歌仙の一人。元明天皇の頃の人など諸説ありますが実際には不明です。この歌も、古今集では「詠み人知らず」として紹介されています。鴨長明の歌論書「無名抄」には「田上(たなかみ)の下に曽束(そつか・現在の滋賀県大津市)といふ所あり。そこに猿丸太夫が墓あり」と記されています。***この句の声に出した時の気持ち良さ。これは何なんだろう。しみじみと秋に声に出してみたい。そして、猿丸大夫って名前も昔から気になってたけど伝説の歌人とは!でも上手い!流石三十六歌仙!
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