2017/04/14

3〜5 番歌 あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む 柿本人麻呂・ 田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ 山部赤人・おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸大夫

3 番歌 

あしびきの山鳥の尾のしだり尾の ながながし夜をひとりかも寝む
あしひきのやまとりのをのしたりをの なかなかしよをひとりかもねむ
柿本人麻呂 

山鳥のあのたれさがった尾のように長い夜を、私は一人で寂しく眠るのであろうか。


【あしびきの】
  山に関係した言葉にかかる枕詞で、ここでは「山鳥」にかかっています。
【ひとりかも寝む】
 「(逢いたい人にも逢えないで)ひとり(寂しく)寝ることでだろうかなあ」という意味。
「ひとり」は名詞ではなく、「ひとりで」という意味の副詞です。
「か」は疑問の係助詞、「も」は強意の係助詞、「む」は推量の助動詞です。

***
想い人には会われへん秋の長夜。ロマンチックでメソメソした男の歌。
多分想い人は他にも彼氏がいそうな気がする

4番歌 田子の浦にうちいでて見れば白妙の 富士の高嶺に雪はふりつつ 山部赤人
田子の浦の海辺に出て見渡してみると、富士の高嶺には真っ白な雪が降り積もっている。
【田子(たご)の浦に】
 田子の浦は、駿河国(現在の静岡県)の海岸です

白妙は前にも勉強した白いものへの枕詞 (過ぎて夏来にけらし白妙の 衣干すてふ天の香具山)
【白妙(しろたへ)の】
 「白妙」はコウゾ類の木の皮の繊維で織った純白の布のことです。
 富士に掛かる枕詞になっています。
白妙が白い布の意であることから、白いものにかかる。
「万葉集」では
 「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 
   富士の高嶺に 雪は降りける」
***
風景写真のような句だなあ(陳腐な感想だ

5番歌 おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸大夫

おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき 猿丸大夫
奥山で散り敷いた紅葉を踏み分けて鳴く鹿の声を聞くとき、とりわけ秋が悲しく感じられる。
【鳴く鹿の】
 秋には、雄の鹿が雌を求めて鳴くとされており、そこに遠く離れた妻や恋人を恋い慕う感情を重ねています。

作者  猿丸太夫(さるまるだゆう。生没年不詳)
 伝説の歌人で、三十六歌仙の一人。元明天皇の頃の人など諸説ありますが実際には不明です。
この歌も、古今集では「詠み人知らず」として紹介されています。
鴨長明の歌論書「無名抄」には「田上(たなかみ)の下に曽束(そつか・現在の滋賀県大津市)といふ所あり。
そこに猿丸太夫が墓あり」と記されています。


***
この句の声に出した時の気持ち良さ。これは何なんだろう。しみじみと秋に声に出してみたい。
そして、猿丸大夫って名前も昔から気になってたけど伝説の歌人とは!でも上手い!流石三十六歌仙!





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