2012/07/05

ブラック•ブレッドを見て来たよ。ずーん

スペイン映画、ブラックブレッドをシネリーブル神戸で見てきました。 
封切りすぐだったので、2/3ぐらい入ってました。 



この映画はスペインのアカデミー賞(ゴヤ賞、ガウディ賞と言うらしい)を総なめした映画とのことで、私の好きな子役が活躍する映画なので楽しみにしていました。 

スペイン内戦後の話です。 
主役のアンドレウは理想を語る左翼の父と、その夫と子供を支えるために工場で働きづめの母との間の一人っ子で11歳。とても貧しい暮らし、貧しいながらも幸せに、そして「勉強が好き」で優秀で医者になりたいアンドレウ。これがキーポイントです。 
ある日、左翼の父の相棒にあたる同士が息子共々殺されてしまいます。崖から荷車と馬共々落ちて瀕死の状態にいる友人を発見してしまうアンドレウ。この殺人を犯したのは誰なのか?父なのか?内戦後の赤狩りとして父は、はめられたのか?治安警察がやって来て隠れていた父は逮捕されてしまいます。事の真相を、大人達がつくたくさんの嘘の中から自分の目で目撃した事によって真実を悟ってしまうようになっていくアンドレウ。それはもう、子供の純粋なキラキラした時間は終わった事を暗示しているようです。 

主役のアンドレウを演じてるフランセスク・クルメが、全くの演技経験なしの初役。最近見た映画でもそんな子役よくいるけど、ほんまかな?と思わせるぐらいの自然な演技でいつも感心します。でも、これって、私が日本語しかわかんないからリアルに見えるだけなの?どーなの?日本の子役のとってつけたような可愛く演出された演技が苦手で、やらされてるわ~、と思ってしまうんだけど、ヨーロッパ映画の子供は、滅多に笑わないし、必要な所でもしゃべらなかったりするじゃない?私なんか商売人の子供だったので、子供の頃から愛想良くするように育てられたから、しゃべって当然、お礼を言う事が大人がして欲しい事だって場面に、何も言わずにじっとしてる子供をじっと見てると、ハラハラするんよね。 

主役のアンドレウのいとこで彼よりも3、4歳上の女の子が強烈で、手榴弾のせいで左手首から先をなくした美少女。自分の父親の自殺の目撃者で、母親は男と逃げて、もう、女の使い方次第で世の中を渡って行く術を知っています。欲にまみれた世界の中で見つけた最後の希望がアンドレウなのかも。とても彼に執着しつつ、保護し、裏切られる。でも、彼女ならどうなっても生きていけるでしょう。そう思わせる強さと不具な人だけのもつ色気のある少女。 

アメリカの映画にはない、どす黒さと暴力表現が魅力的な映画。親子の複雑な愛情。子供の向上心。ぬかるみのような大人の世界。かなり魅力的な作品でした。こういう映画を見ると、自国の内戦や戦争などの暗い過去を元に強いメッセージ性を持たす作品を作り続ける国は文化的に成熟してるなあと思います。日本こそ敗戦や原爆、地震の痛みを通じて語る作品がもっとあってもいいのに。新藤兼人監督がいない今、そういう作品を作れる人はいないのか、とも思ったのでした。(テレビドラマのその後、みたいなんばっかり作ってさあ。あほらしいわ~) 

評価 は 
 暗い映画も好きな人は、映画館で見て欲しいです。 

  >すばらしい→映画館で見てください! 
  >普通よりもいい→DVD化されたらみてね 
  >普通→機会があったらみてください 
  >それ以下→微妙~~~ 



スペイン版予告 

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