2013/04/10

ある海辺の詩人~小さなヴェニスで~をみてきました

シャドーダンサーを見た後に、ある海辺の詩人を見ました。予告編を見て、この満ち満ちて町が海になってゆくシーンがとても印象的だったからです。 

ある海辺の詩人~小さなヴェニスで~ 



予告編からもわかるとおり、大きな事件の起こる映画ではありません。 
ただ、主人公のの境遇はハードです。中国に一人息子を残して出稼ぎにやって来た女の人。それも正規のルートではなく、中国マフィア?的な機関に渡航費などを借金してやってきて、まず、その借金を返さねばならない。その額があとどれだけ残ってるのかも本人はわからない。その借金を返したら息子を自分の所まで連れて来てもらえて一緒に暮らせる事にはなっているけどそれがいつなのかわからない。 
その彼女はローマの大きな紡績工場で働いていたのに、急にヴェネツィアの近くの小さな漁師町、キオッジャのオステリアで働くよう言われてやってくる。住まいはどこへ行っても組織が用意した中国人だけのアパートで共同部屋。 
そのオステリアは海の近くの小さなカフェと居酒屋を併せたような店で、まるで私がやってるカフと立ち飲み居酒屋とを一緒にしてそこにビリヤードと手でハンドルを回して対戦するサッカーゲームを置いたような店。悪くなくて、その店はそれまでイタリア人のおばさんがやってたんだけど、組織が買った?のでそこそこの女の人が必要でよばれた?そんな感じです。 

そのオステリアには漁師町らしく、少し気性の荒い男達、主におじさんがたむろし、思い思いに呑んだり話したりお茶したり本読んだり笑ったり喧嘩したりして過ごしています。私も近くだったら行きたいような店だけど、女性が全く来てなかったな。女の人の行く店はまた別の場所にあるのかしら。 

主役の女の子は、こけしみたいなつるっと喜怒哀楽もなさそうで色気もないような子。おじいさんになっても男を忘れないイタリア人とは対照的であんまり興味をそそられてないようだけど、中に、おじいさんで30年前に、ユーゴからの移民でやってきた漁師がいてお互い少しづつ惹かれ合います。異国の田舎町に住むようになった遠い国から来た二人。 

そんな二人の距離が少し縮まってやがて離れなければならなくなる物語。そして。。。 

この映画、昔読んですきな小説で絲山 秋子の海の仙人から受けた印象に少しかぶります。海の近くで起きた大人の淡いお伽話。海が近くて海の匂いがして。ああ、そうですね。私は海の出てくる映画や本が好きなんだなとそっと思ったのでした。 

二人は詩が好きで、自分の愛する詩人の詩や自作の詩を吟じます。詩の行間の淡い想いを感じ取ります。異国でのさびしさを詩と二人の交遊が心を満たしていきます。けれど、そんな幸せな状況はある日、ぶつっと切れるように終わってしまうのです。 

哀しいけれど美しい。そんな映画でした。 

評価は、 
こういう小さなタイプの映画が好きな人には映画館で見て欲しいですね。 


  >すばらしい→映画館で見てください! 
  >普通よりもいい→DVD化されたらみてね 
  >普通→機会があったらみてください 
  >それ以下→微妙~~~ 


イタリア版の予告編。もっとさみしい感じだね 

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